・前置き
この記事はHOPE氏(twitter:@HOPE_Trainer)による
「トリプルバトル Advent Calender 2023」8日目の記事です。
この記事以外にも様々なトリプルバトルの構築記事が投稿される予定になっています。
ぜひご覧ください。
以下、HOPE氏に提供された記事用データをほぼそのまま書き記します。
はじめに
令和になってからポケモントリプルバトルを始めた、通称「令和トリプル勢」のHOPEです。2021年9月にトリプルバトルを始めてから、さまざまなタイプ統一パーティでトリプルフリーに潜りました。オンラインで孵化厳選しかしていない人ではありません。
ORASトリプルバトルのタイプ統一パーティは、範囲技が一貫しやすいためか他ルールに比べて記事がとても少ないです。そのため、「トリプルバトルでタイプ統一を組んでみたいけど、どのように作ればいいのかわからない」という方の力になれればと思い、筆を取りました。
なお、こちらで紹介するのはあくまで作り方の一例であり、全然違う作り方もあれば、こちらに書かれていない大事な要素もあるかと思いますがご容赦ください。
前提:当記事におけるタイプ統一パーティ
この記事におけるタイプ統一パーティは、以下2つの条件を満たすものとします。
・選出画面の6匹のポケモンすべてに同じタイプが入っていることが一目でわかる
・パーティにメガシンカポケモンを採用した場合、メガシンカ後のポケモンにも同じタイプが入っている
他の言い方をすると、「某徹底攻略様で該当のタイプで検索したときにヒットするポケモンのみを戦闘に使用する」という形です。単純にその方が構築を作りやすいので…。
<全タイプになれる私は万能では?
ノーマルしか検索で出ないから>
タイプ偽装もできるし芸術点が低い>
個人的に作成する際は「ORASレートで再現可能なポケモンのみ使用する」など他の条件も加えていますが、そちらは個々人の好みでしょう。ちなみに、著者はタイプ統一での特性変幻自在は肯定派ですが、全タイプ走破するまでは変幻自在を持ちうるポケモンの使用を封印していました。
タイプ統一パーティの作り方
※長文が苦手な方は「作成の仕方まとめ」まで飛んでください。
- その1:メガシンカポケモンを確認しよう
メガシンカポケモンが強力であることは周知の事実であり、タイプ統一パーティでもそれは変わりません。火力・耐久が不足しがちなタイプ統一で、他のポケモンと持ち物を競合させずに強化できる点も優秀です。
<拘り鉢巻って強化倍率低くない?
技も打ち分けできないのはちょっと>
ポケモンのタイプ全18種類には、すべてメガシンカポケモンが存在します。どのようなポケモンがいるか、最初に確認しましょう。
この時点では、どのポケモンを採用すべきか決めなくて構いません。ただ、パーティを組む中でさまざまな役割を持つポケモンを探すとき、メガシンカ枠が余っていたらある程度優先して採用を検討しましょう。(必ず採用しなければならないわけではありません)
- その2:範囲エースを決めよう
トリプルバトルの範囲技は、相手とのダメージレースに勝つ上で非常に重要な要素です。そのため、高火力の範囲技を使えるポケモン(範囲エース)を最初に探します。
トリプルバトルでは他にも重要とされる要素がありますが、タイプ統一パーティの場合は最初に範囲エースを決めた方がよいと考えています。なぜなら、タイプによっては高火力の範囲技を使えるポケモンが極めて限られるからです。
比較的高火力で味方を巻き込まない技といえば、
しおふき・だくりゅう・ふんか・ねっぷう・いわなだれ・ハイパーボイス・ふぶき・マジカルシャイン
あたりかと思います。(一部火力が足りなさそうな技もありますが)
技のタイプを見ると、みず・ほのお・いわ・こおり・フェアリー・ノーマルの6種類(スキン特性によるタイプ変更を考慮しても、ひこうを加えた7種類)にしか高火力の範囲技がないことがわかるでしょう。そのため、タイプによっては範囲エース候補のポケモンが極めて少なくなります。
普通のパーティであれば範囲技要員がいないときはニンフィアやヒードランでも入れれば体裁が整いますが、タイプ統一パーティでは使用ポケモンが限られるのでその手段は取れません。そのため、最初に探しておく必要があります。
<やぁ>
うちゴーストタイプしか取ってないんだよね>
範囲エース候補がたくさんいるタイプやどのポケモンを採用するか悩む場合には、他のポケモンを決めてから決定しても構いません。
ワイドガードを警戒したフェイント要員やよこどり要員はこの段階で決める必要はありませんし、いなくても構いません(相手がワイドガードしてきそうなら単体技を使えばいいのです)が、それらの技を覚えるポケモンは結構限られるので、先に覚えるポケモンを検索しておくのもよいでしょう。
なお、トリプルバトルには範囲技がなくても戦えるパーティも存在します(ガルーラスタンの一部など)。ですが、それはあくまで採用ポケモンすべてが種族値や特性によって火力・耐久を確保できるから可能であり、高種族値ポケモンが限られるタイプ統一では難しいと考えています。範囲技不足で結果的にそうせざるを得ないタイプもありますが、最初から目指すものではないでしょう。
- その3:S操作役を決めよう
範囲エースを決めた後は、S操作役を決めます。
トリプルのS操作といえば、味方全員が複数ターン恩恵を受けられるおいかぜ・トリックルームのどちらかを採用するのが一般的です。最初に決めた範囲エースが速いか遅いかでどちらを採用するか決めましょう。ただ、タイプによってはトリックルームを覚えるポケモンがいないので注意が必要です(むし、でんきなど)。おいかぜは全てのタイプで使えますが、数が極めて少ないことがある(でんきタイプはエモンガ・サンダーのみ、こおりタイプはフリーザーのみ)ので確認しておきましょう。
おいかぜ?ペンギンに言われても困りますよ>
こごえるかぜ・エレキネットなど他のS操作技もありますが、交換されると効果が消える点からS操作の主軸とするのは難しいです。一応S操作がこごえるかぜオンリーでも勝率5割は達成できたタイプ統一パーティもあるので、戦えないわけではありません。
ちなみに、湿原の誓いは第6世代ではじめん統一のみ使用可能です。チャレンジしたい方はぜひどうぞ。
<がんばるぞ!>
- その4:S操作サポート役を決めよう
S操作をどうするか決めたら、S操作を成功させるためのサポート役を決めます。基本的にはねこだましを覚えたポケモンを入れますが、タイプによってはねこだましを覚えるポケモンがいないことや採用が難しいこともあります。
ひこう統一でねこだましを使いたいと聞きました>
<他にいなかったのか?
<ねこだましは専門外でして…
そういった場合のやり方として、
・天候によるS操作を重ねる
・ねこだましが効かない(ゴーストタイプやせいしんりょく)ポケモンでS操作する
・よこどりやちょうはつで相手のS操作を妨害する
・1ターン目は止められる前提で、高耐久ポケモンを使って2ターン目以降強引にS操作する
などがあります。
天候によるS操作はS操作役を増やすことにもつながるため、「おいかぜとあまごいを重ねることで、どちらかが通れば特性すいすいのポケモンを2倍速にできる」といった使い方ができます。タイプによっては火力向上にもつながるので、積極的に採用したいところです。
おいかぜ・あまごい・ワイドガードが使えて特性すいすいです>
<採用!
ねこだましがある場合に比べてS操作が安定しないので、使用するタイプに合わせてやり方を考えましょう。
ここまでで、「S操作をして味方の範囲エースが上から攻撃して相手を倒していく」という勝ち筋を作ることができました。
- その5:要対策ポケモン・パーティを対策しよう
ここからは、こちらの勝ち筋を増やすのではなく、負け筋を減らす方向を考えます。言い換えると、要注意ポケモン・パーティの対策です。タイプ統一パーティを作る際の一番の肝であり、ここでパーティ6匹+大半の技構成が決まるといっても過言ではありません。
パーティの耐性や技範囲が偏るタイプ統一の負け方でありがちなのは、「スカーフランドロスに岩雪崩されるだけで負けた」「ヒードランやギルガルドが倒せない」という苦手な相手に何もできないパターンです。トリプルバトルであまり見かけないポケモンであればマッチングしないことで対策すると開き直ってもよいのですが、「ヒードラン・メガリザYが苦手なのでマッチングしないことを祈る」というのはさすがに無理があります。そのため、ある程度マッチングするポケモンやパーティには事前に対策を考えましょう。
苦手な相手はタイプによって変わりますが、メジャーなポケモン・構築(以下)についてはある程度対策をしないと勝率が格段に下がってしまいます。
主な対策:どくやはがねの物理技、ワイドガード、特性上書き、C下降技
主な対策:こおり技、いかく
主な対策:いわ技、手動で天候を取る(雨、砂、ノーてんき)
主な対策:じめん技、かくとう技、みずタイプのポケモン
・ドーブル
・テラキオン(ふくろだたきパ)
主な対策:ワイドガード、このゆびとまれ(ふくろだたき妨害)、トリックルーム、いわ耐性のあるポケモン(じめん・はがね・かくとうタイプ)
・雨パ(トノルンパグドラ)
主な対策:天候を取る(晴れ・砂・ノーてんき)、水耐性のあるポケモン
・砂パ(バンドリマンダ)
主な対策:いかく、いわ技、高火力単体技、よこどり(補助技警戒の場合)
・その他タイプごとの苦手な相手
フェアリー統一でのギルガルド、エスパー統一でのキリキザン、みず統一のモロバレルなど
主な対策:各種対策技の採用(弱点技の搭載)、等倍で受けられるポケモンの採用
軽くまとめると、「強力な範囲技を使える」「上から攻撃できる」「弱点を突かれる」「ドーブル」の危険度が高いです。とくに、ニンフィアやランドロスは遭遇率も高いので対策しないと大変なことになるでしょう。なりました。
対策方法はいろいろ書いていますが、基本は「有効な行動をさせる前に倒す」です。タイプ統一は弱点が一貫するため、特性で無効にできない場合は受け出しが安定しません。そのため、上から倒せるようにするのが一番安心です。
もちろん、可能であれば受け出しができる&相手を倒せるようなポケモンを用意したいですが、タイプ統一では該当するポケモンがいるとは限りません。その場合は、半減実やリフレクター・ひかりのかべなどで1回は耐えられるようにすると比較的立ち回りやすくなります。
ここで、「特定ポケモン・パーティへの対策に特化しすぎたポケモンとならないよう注意する」ことが大事です。
例えば、ほろびのうたパーティが重いからといって、クロバットの技構成をちょうはつ・ふきとばし・とんぼがえり・くろいまなざしにするでしょうか?答えはNoです。対策技を入れるにしても、ちょうはつ・とんぼがえり程度に抑え、他においかぜやブレイブバードなどを採用した方がはるかに使いやすいでしょう。
<ほろびの対策でくろいまなざし採用することないだろ…
メタに特化させた技・ポケモンは、メタ対象以外との対戦で置物となってしまい、全体的な勝率が落ちてしまうことがままあります。そのため、どんな時にも置物とならない・なりにくいようなポケモン・技構成で採用するよう注意しましょう。雑にタイプ一致攻撃技を仕込むだけでも違います。
対策枠が足りない場合には、いくつかの対策は捨てざるを得ません。トリプルバトルには時期によって流行があるため、マッチング状況に応じてどのポケモンの対策を捨てるか考えましょう。対策を捨てた途端にマッチングすることもあります。
- その6:残りのポケモン・アイテム・技を決めよう
大抵のタイプ統一は、その5までで大半のポケモンと技構成が決まっているかと思います。最後に、まだ埋まっていないポケモン・技・アイテムを決めてパーティを完成させます。
ポケモンに空きがある場合は、アタッカー、いかく役、まだ入っていなければメガシンカポケモンなどで埋めましょう。
持たせるアイテムは、範囲エースには火力アップアイテム、対策ポケモンには対策用アイテム、S操作役にはきあいのタスキや半減実などの耐久サポートアイテムかダクホ対策のラムのみ、メガシンカポケモンにメガストーンを持たせると半数は決まります。もし、空きがあれば火力アップアイテムか耐久サポートアイテムが選択肢になるでしょう。ピンポイントではありますが、トリックルーム対策のくろいてっきゅうもありです。
技については、残りの技枠を埋めるときに便利な技を記載しておきます。
・タイプ一致技(火力重視、サポートポケモンへのちょうはつ対策)
・ひかりのかべ・リフレクター・いやしのはどう(耐久のサポート)
・かわらわり(相手の壁対策)
・はたきおとす(何かと便利)
・とんぼがえり・ボルトチェンジ(サイクルはほぼ回せないため滅びパーティ対策)
・一撃必殺技(困ったときにすぐ頼ってしまいがちになるので要注意)
6匹のポケモン・アイテム・技が決まったらタイプ統一パーティの完成です。
使っていくうちに、パーティ作成中には気付かなかった要対策ポケモンがいたり、サポート要員が多くて火力不足だったりとパーティの不備を見つけることも多いので、実際に使いながらパーティを修正していきましょう。
作成の仕方まとめ
・範囲アタッカーを探す!
・S操作役を探す!
・メタと普段の仕事を兼ね備えたいい感じのポケモンを探す!
作成例
タイプ統一パーティの例として、過去に作成したくさ統一を載せます。
基本の作成方針は当記事と同じであり、マッチング運はあるもののトリプルフリーで30戦して勝ち越しているパーティです。
- 各ポケモン詳細
・ルンパッパ
くさタイプで範囲エースたりうる数少ないポケモン。
なみのりは味方を巻き込んでしまうものの、半減にできる上に巻き込みをメリットにできるユレイドルとパラセクトを入れることでカバー。S操作サポートとしてねこだまし、エースとして大事に扱いたいのでまもる、苦手なメガボーマンダへの打点としてれいとうビームを採用。持ち物は火力重視でいのちのたま。
おいかぜ持ちのS操作要員。ねこだましでロトムのあまごいサポートも可。
タイプ一致打点としてはたきおとすを採用。あと1枠は、ふいうちが過去作限定技だったために壁対策としてきりばらい。耐久が心もとないので、安定したS操作のために持ち物はきあいのタスキ。
・ロトム
あまごいによるルンパッパのS操作と火力強化、よこどりによる相手のS操作や壁展開妨害のために採用。オッカのみを持たせることでメガリザードンYの前でも安定してあまごいが可能。
残りの技は、タイプ一致技として雨下で打てるかみなり、特殊耐久の高いユレイドル・メガフシギバナがいるので物理アタッカーへの対策におにび。
相手の範囲技を防ぐためのワイドガード、ワイドガード対策に打たれる単体技から味方を守れるいかりのこな、相手のトリックルーム軸への妨害手段などで優秀なきのこのほうしに加え、パーティ全員がくさタイプなのでたがやすを採用したフルサポート型。ロトムは特性ふゆうなので基本的にたがやせないことに注意。一度だけシンプルビームを受けたロトムの超強化に成功。
ルンパッパのなみのりに巻き込んで大丈夫なポケモンその2。ひこう等倍のためファイアローを前にしても行動でき、とつげきチョッキによってメガリザードンYの晴れ下熱風も耐えるポケモン。耐久振りの結果不足した火力に関しては、特性よびみずの発動と耕されることでサポート。
タイプ一致技で貴重なアローリザYへの打点げんしのちから、回復リソースのギガドレイン、ヒードランやギルガルド対策のだいちのちから、残り1つは特殊の高火力技をとつげきチョッキで無理やり耐えられることを活かしたミラーコート。こだわりメガネニンフィアのシングルダメージハイパーボイスを反射して倒した実績あり。
・メガフシギバナ
ニンフィア対策兼メガシンカ後はほのお等倍のポケモンとして採用。物理アタッカーを倒せばめいそうスイクンのように詰め筋として扱えるが、はがねタイプへの打点不足に注意。
採用理由のヘドロばくだん・ドわすれ、回復リソースにギガドレインとこうごうせいを採用。ドわすれを1回積めればリザードンYのシングルダメージ晴れ熱風ですら半分減らないので、こうごうせいで晴れを切らしたあとにヘドロばくだんで押し切ることが可能。大抵はギガドレインで回復が間に合うため、こうごうせいよりめざめるパワー(地面や岩)の方がおそらく有用。
- 立ち回り
初手にダーテング・ルンパッパ・ロトムと並べ、ねこだまし+おいかぜやあまごいをする運用が基本形。おいかぜやあまごい後はユレイドル・パラセクトを出しながら、雨下タイプ一致なみのりで範囲攻撃と味方強化を同時に進めます。あまごいが成功するとルンパッパに攻撃が集中するので、ルンパッパで守りながらパラセクトを出すと、ワイドガードやいかりのこなでルンパッパを守りながら攻めの継続ができます。
ルンパッパが暴れた後は、一度引いたダーテングでのおいかぜ再展開やねこだまし、ロトムでおにびによる火力低下などを行いながらメガフシギバナで詰めを狙います。無理にドわすれをしなくても、持ち前の耐久とギガドレインで押し切れることもあるので積むべきか攻めるべきは高度な柔軟性を維持しつつ臨機応変に対応します。
まとめ
タイプ統一パーティの作り方を書いてきましたが、いかがでしたでしょうか。
正直、普通のパーティの組み方と大きくは変わらない(というより、同じやり方で普通のパーティも組める)と思っています。
タイプ統一パーティは「使用できるポケモンの選択肢を狭めることで、自作パーティを組みやすくなる」「対戦相手に一目でテーマが伝わる」といったおもしろい点もあり、トリプルバトルでオリジナルパーティを組んでみたいと思った方にはおススメです。
この記事を読んで気になった方、ぜひタイプ統一パーティを作ってみませんか?
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